Javaで業務システムの開発をはじめたばかりのころ。
「環境構築をしましょう」と言われて、登場したのが――Tomcat。
当時の私は Tomcat?猫…?かわいい名前だけど何する人? と心の中でこっそり思っていました。
インストールしてはみたものの、サーバ?コンテナ?Apache?とカタカナ多めの世界に少し混乱していたのを覚えています。
それでもなんとなく動いてくれているTomcat。
ずっと裏方にいて、静かにがんばっているのに、私はその役割をよくわかっていなかったかも。
だからこそ、この記事では
「Tomcatって何者なの?」 「どんな仕組みでJavaアプリを動かしてくれているの?」
そんな疑問をひとつずつ、あのネコちゃんの謎を解き明かすように、やさしく・わかりやすく整理してみたいと思います。
業務で使ってるけどよく知らない…そんな方の“もやもや”が少しでも晴れたらうれしいです!
はじめに――Tomcatって名前は聞くけど、何者?
Javaの業務システムを開発していると、ある日ふと登場するのが「Tomcat」という存在です。
「環境構築にTomcatを入れておいてください」
「アプリをTomcatにデプロイして動作確認しましょう」
……えっ、トムキャット? 名前はなんだかかわいいけれど、何をしてくれるのか、正直よくわからない。
私がTomcatと出会ったのは、まさにそんなタイミングでした。
名前は知ってるけど、正体は謎
TomcatはJavaのWebアプリケーションを動かすためのサーバソフトです――と説明されても、最初はピンときませんでした。
- サーバって何?
- Webアプリってどこで動いてるの?
- ていうか、Tomcatって何してるの?
そんな疑問が頭の中をぐるぐるしていたのを、今でもよく覚えています。
とりあえず動いてるけど、よくわからない
Tomcatは、インストールして起動すれば、http://localhost:8080 にアクセスできるようになります。
「おお、なんか動いた!」と感動したのも束の間、その裏で何が起きているのかは完全にブラックボックス。
アプリを配置すれば動くけど、なぜ動くのかはわからない。
設定ファイルがあるけど、どこをどう触ればいいのかもわからない。
そんな“なんとなく使ってるけど、実はよく知らない”状態でTomcatを使っている方、きっと私だけじゃないはずです。
この記事で目指すこと
この記事では、そんなTomcatの正体をやさしくひも解いていきます。
- Tomcatって何をしてくれるの?
- JavaのWebアプリとどう関係しているの?
- どうやって導入・設定すればいいの?
といった疑問に、初心者目線で、できるだけ専門用語をかみくだいてお答えしていきます。
Tomcatは、派手さはないけれど、Javaアプリを支えるとても頼れる相棒です。
その仕組みや役割を知ることで、きっと開発の安心感がぐっと増すはず。
次の章では、まず「Tomcatって何をしてくれるソフトなのか?」という基本のキから、一緒に見ていきましょう。
Tomcatの正体――何をしてくれるソフトなの?
Tomcatは、JavaのWebアプリケーションを動かすために欠かせない存在です。
でも、いざ「Tomcatって何?」と聞かれると、うまく説明できない…という方も多いのではないでしょうか。
この章では、Tomcatの役割や仕組みを、できるだけやさしく、イメージしやすく解説していきます。
Tomcatは“JavaのWebアプリを動かすための箱”
Tomcatは、正式には「Apache Tomcat」と呼ばれるサーブレットコンテナ(Webコンテナ)です。
ざっくり言うと、Javaで作ったWebアプリを動かすための“実行環境”のようなものです。
たとえば、ログイン画面や検索フォームなど、ユーザーの入力に応じて動的にページを生成するような処理。
こうしたJavaのWebアプリケーション(ServletやJSP)を、Tomcatが裏で動かしてくれているんです。
たとえるなら「Webアプリを調理するコックさん」
Webアプリの世界をレストランにたとえると、Tomcatは「注文を受けて料理を作るコックさん」のような存在です。
- お客さん(ブラウザ)が注文(リクエスト)を出す
- コック(Tomcat)がレシピ(Javaプログラム)に従って料理(レスポンス)を作る
- 出来上がった料理をお客さんに返す
この一連の流れを、Tomcatが担ってくれているんですね。
Tomcatが得意なこと
Tomcatは、以下のような処理を得意としています:
- Java Servlet の実行(リクエスト処理のロジック)
- JSP(JavaServer Pages)の変換と実行(HTML+Javaのテンプレート)
- Webアプリケーションのデプロイと管理
- HTTPリクエストの受付とレスポンスの返却
つまり、Javaで作ったWebアプリを「動かす」ための土台を提供してくれるのがTomcatなんです。
Apache HTTP Serverとの違いは?
よく混同されがちなのが「Apache」と「Tomcat」の違いです。
ソフト名 | 主な役割 | 得意なこと |
---|---|---|
Apache HTTP Server | 静的コンテンツの配信 | HTML, CSS, 画像などの表示 |
Tomcat | 動的コンテンツの処理 | JavaのWebアプリの実行 |
Apacheが「料理を運ぶホールスタッフ」なら、Tomcatは「注文を受けて調理するコックさん」みたいな関係です。
実際の現場では、ApacheとTomcatを連携させて使うこともありますが、Tomcat単体でもWebアプリを動かすことは可能です。
WARファイルって何?
TomcatにJavaアプリを配置するときによく出てくるのが「WARファイル(.war)」です。
これは、Webアプリケーションをまとめたパッケージファイルで、Tomcatに渡すことでアプリを展開・実行できます。
いわば「アプリの詰め合わせ弁当」みたいなもの。
Tomcatはそれを受け取って、必要な処理をしてくれるんです。
小まとめ:Tomcatは“Java Webアプリの実行係”
- Tomcatは、JavaのWebアプリを動かすためのサーバソフト
- ServletやJSPを実行する「サーブレットコンテナ」として働く
- Apache HTTP Serverとは役割が違う(静的 vs 動的)
- WARファイルを使ってアプリをデプロイできる
次の章では、そんなTomcatの中身――どんな仕組みでアプリを動かしているのか?を、もう少しだけ深掘りしていきます。
「server.xmlって何?」「リクエストはどう処理されるの?」といった疑問にもやさしく触れていきますね!
Tomcatの仕組みをざっくり理解しよう
Tomcatが「JavaのWebアプリを動かすサーバ」だということはわかってきました。
では、実際にどんな仕組みで動いているのでしょうか?
この章では、Tomcatの内部構造やリクエスト処理の流れを、できるだけやさしく、ざっくりと理解していきましょう。
リクエスト〜レスポンスの流れ(ざっくり版)
Tomcatは、クライアント(ブラウザ)からのリクエストを受け取り、JavaのWebアプリケーションに処理を渡し、結果を返す――という流れを担っています。

ざっくり言うと、こんな感じです:
- ブラウザが http://localhost:8080/myapp にアクセス
- TomcatのConnectorがリクエストを受け取る
- Engine → Host → Context を通って、該当アプリに処理を渡す
- ServletやJSPが処理を実行
- 結果(HTMLなど)をレスポンスとして返す
まるで「受付 → 案内係 → 担当者 → 処理 → 結果返却」という社内フローのようですね。
Tomcatの内部構造(主要コンポーネント)
Tomcatは、以下のような階層構造でリクエストを処理しています:
コンポーネント | 役割 |
---|---|
Connector | クライアントからのリクエストを受け取る窓口(HTTPやAJP) |
Engine | リクエストを解析し、適切なアプリへ振り分ける |
Host | 仮想ホスト(ドメイン)単位の管理 |
Context | Webアプリケーション単位の処理(ここにServletやJSPがある) |
この構造は、Tomcatの設定ファイル server.xml にも反映されています。
Connectorって何?
Connectorは、Tomcatの“入り口”です。
デフォルトではポート8080でHTTPリクエストを待ち受けています。
<Connector port="8080" protocol="HTTP/1.1"
connectionTimeout="20000"
redirectPort="8443" />
この設定により、Tomcatは「8080番ポートでアクセスを待ってるよ〜」という状態になります。
Contextってどこ?
Contextは、1つのWebアプリケーションを表します。
たとえば myapp.war をTomcatにデプロイすると、/myapp というContextが作られます。
この中にある Servlet や JSP が、実際の処理を担当します。
WARファイルとTomcatの関係
Tomcatは、WARファイル(Web ARchive)を受け取ると、自動的に展開して /webapps フォルダ内にアプリを配置します。
つまり、「アプリをTomcatに渡す=WARファイルを置く」ということなんですね。
まとめ:Tomcatの中ではこんなことが起きている
- Connectorがリクエストを受け取る
- Engineが解析して、HostとContextに振り分ける
- Context内のServletやJSPが処理を実行
- 結果をレスポンスとして返す
Tomcatは、こうした一連の流れを静かに、でも確実にこなしてくれているんです。
次の章では、そんなTomcatを実際に使ってみるための「導入方法と基本設定」について、やさしく手順を追って解説していきます。
「Tomcatってどうやって動かすの?」という疑問に、一緒に答えていきましょう!
Tomcatの導入方法と基本設定
Tomcatの仕組みがなんとなく見えてきたところで、いよいよ実際に使ってみましょう!
この章では、Tomcatの導入から起動確認までの流れを、できるだけシンプルに、つまずきポイントも交えながら解説していきます。
Step 1:前提としてJDKが必要です
TomcatはJavaで動くソフトなので、まずはJDK(Java Development Kit)がインストールされている必要があります。
以下のコマンドで確認できます:
java -version
バージョンが表示されればOKです。
表示されない場合は、JDKのインストールと JAVA_HOME の環境変数設定が必要です。
Step 2:Tomcatをダウンロードしよう
Tomcatの公式サイトから、使用したいバージョンを選んでダウンロードします:
初心者の方には ZIP版 がおすすめです(インストーラ不要で展開するだけで使えます)。
Step 3:ZIPを展開して配置する
ダウンロードしたZIPファイルを展開し、任意の場所に配置します。 例:C:\dev\tomcat-10.1.XX
注意:C:\Program Files など、アクセス制限のあるフォルダは避けた方が無難です。
Step 4:環境変数を設定する(任意)
Tomcatをコマンドラインから操作したい場合は、以下の環境変数を設定しておくと便利です:
- CATALINA_HOME → Tomcatのルートディレクトリ
- Path に %CATALINA_HOME%\bin を追加
Step 5:Tomcatを起動してみよう!
bin フォルダ内の startup.bat(Windows)または startup.sh(Mac/Linux)を実行します。
成功すると、コマンドプロンプトに以下のようなメッセージが表示されます:
INFO: Server startup in XXXX ms
Step 6:ブラウザでアクセスして確認
ブラウザを開いて、以下のURLにアクセスしてみましょう:
http://localhost:8080/
Tomcatのウェルカムページが表示されれば、導入成功です!
よくあるつまずきポイント
症状 | 原因と対処法 |
---|---|
起動しない | JAVA_HOME が未設定/JDKが未インストール |
ポート8080が使えない | 他のアプリが使用中。server.xmlでポート変更可能 |
文字化けする | logging.properties のエンコーディング設定を確認 |
小まとめ:Tomcat導入は意外とシンプル
- JDKが入っていれば、TomcatはZIP展開だけで使える
- 起動確認は startup.bat → http://localhost:8080/
- 環境変数を整えると、操作がスムーズに
次の章では、TomcatにJavaアプリケーションをデプロイして実行する方法を解説していきます。
「WARファイルってどう使うの?」「Servletってどう動くの?」といった疑問にもやさしく答えていきますね。
TomcatでJavaアプリを動かしてみよう
Tomcatの導入が完了したら、いよいよJavaで作ったWebアプリケーションをTomcat上で動かしてみるステップです。
この章では、Javaアプリを .war ファイルにまとめて、Tomcatにデプロイし、ブラウザからアクセスするまでの流れをやさしく解説します。
WARファイルとは?
まず、Tomcatにアプリを渡すには、WARファイル(Web Application Archive)という形式にまとめる必要があります。
WARファイルは、JavaのWebアプリに必要なファイル(Servletの .class、JSP、HTML、設定ファイルなど)をひとまとめにした“アプリの詰め合わせパック”です。
Step 1:WARファイルを作成する
Mavenを使っている場合は、pom.xml に以下のように指定しておくと、mvn package でWARファイルが生成されます:
<packaging>war</packaging>
コマンド:
mvn clean package
target/ フォルダ内に your-app-name.war が生成されます。
Step 2:Tomcatにデプロイする
WARファイルを、Tomcatの webapps/ ディレクトリにコピーします:
cp your-app-name.war /path/to/tomcat/webapps/
Tomcatを起動していれば、自動的にWARファイルが展開され、アプリがデプロイされます。
Step 3:ブラウザでアクセスしてみよう
ブラウザを開いて、以下のURLにアクセスします:
http://localhost:8080/your-app-name/
アプリのトップページが表示されれば、デプロイ成功です。
よくあるエラーと対処法
症状 | 原因と対処法 |
---|---|
404エラー | WARファイル名とURLが一致していない/展開に失敗している |
500エラー | サーブレットやJSPのコードに例外がある/依存ライブラリ不足 |
アプリが展開されない | WARファイルの構成ミス(WEB-INF フォルダがないなど) |
小まとめ:Tomcatでアプリを動かす流れ
- JavaアプリをWARファイルにパッケージング
- webapps/ に配置
- Tomcatが自動で展開
- ブラウザからアクセスして動作確認
次の章では、Tomcatを業務で使うときに役立つログの見方や設定のポイントについてご紹介します。
「動かすだけじゃなく、ちゃんと“運用できる”ようになる」ためのヒントをお届けしますね。
業務で使うときのポイントと注意点
Tomcatは、動かすだけなら意外と簡単。
でも、業務で安定して使うとなると、ちょっとした知識やコツが必要になってきます。
この章では、Tomcatを“なんとなく使う”から“ちゃんと運用する”へステップアップするためのポイントを紹介します。
ログの見方を知っておこう
Tomcatは、さまざまなログを logs/ フォルダに出力しています。
トラブル時の原因調査や、アクセス状況の確認にとても役立ちます。
主なログファイルと役割
ファイル名 | 内容 |
---|---|
catalina.out | 標準出力・エラー出力(Linuxのみ) |
catalina.YYYY-MM-DD.log | Tomcat全体の起動・停止ログ |
localhost.YYYY-MM-DD.log | Webアプリのログ(ServletContext単位) |
localhost_access_log.YYYY-MM-DD.txt | アクセスログ(リクエストの記録) |
manager.YYYY-MM-DD.log | 管理画面(managerアプリ)のログ |
host-manager.YYYY-MM-DD.log | host-managerアプリのログ |
特に catalina.log や localhost.log は、エラーの原因を探すときの第一歩になります。
よく使う設定ファイルとその役割
Tomcatの動作を制御する設定ファイルは、conf/ フォルダにあります。
ファイル名 | 役割 |
---|---|
server.xml | ポート番号やConnectorの設定 |
web.xml | デフォルトのServlet設定(アプリ全体に影響) |
context.xml | Webアプリ単位の設定(データソースなど) |
logging.properties | ログ出力のレベルや出力先の設定 |
たとえば、ポート番号を変更したいときは server.xml の タグを編集します。
<Connector port="8080" protocol="HTTP/1.1" ... />
よくあるトラブルと対処法
症状 | 原因と対処法 |
---|---|
ポートが競合して起動しない | 他のアプリが8080番を使用中 → server.xmlでポート変更 |
WARファイルが展開されない | 構成ミス(WEB-INF フォルダがないなど) |
メモリ不足で落ちる | catalina.out に OutOfMemoryError → JVMオプションでヒープサイズ調整 |
ログが文字化けする | logging.properties のエンコーディング設定を確認 |
小まとめ:運用の安心感は“仕組みの理解”から
- ログの場所と種類を知っておくと、トラブル対応がスムーズに
- server.xml や web.xml の役割を知っておくと、設定変更に強くなる
- よくあるエラーは「あるある」なので、焦らずログを見ればOK
次の章では、ここまでの学びを振り返りながら、Tomcatという存在がどれだけ頼れる“裏方”なのかを再確認していきます。
そして、今後の学びへのヒントも少しだけお届けしますね。
まとめ――Tomcatは“静かに支える相棒”です
ここまで、Tomcatの正体・仕組み・導入・デプロイ・運用のポイントまで、ひとつひとつ丁寧に見てきました。
最初は「Tomcatって何者?」と戸惑っていたかもしれません。
でも今は、「あのネコちゃん、実はすごく働き者だったんだな」と思えてきたのではないでしょうか。
ここまでの学びをふりかえると…
Tomcatとは?
→ JavaのWebアプリを動かすための“実行環境”であり、サーブレットコンテナ
仕組みは?
→ Connector → Engine → Host → Context という流れでリクエストを処理
導入は?
→ JDKがあればZIP展開だけでOK。startup.batで起動、localhost:8080で確認
アプリの動かし方は?
→ WARファイルを webapps/ に置くだけで自動展開&実行
業務での注意点は?
→ ログの確認、設定ファイルの理解、ポートやメモリの調整がカギ
Tomcatは“目立たないけど頼れる存在”
Tomcatは、普段は静かに裏で動いていて、エラーが起きない限りあまり注目されません。
でも、JavaのWebアプリがちゃんと動くのは、Tomcatがしっかり支えてくれているからなんですよね。
まるで、毎朝コーヒーを淹れてくれるけど名前を知らなかった喫茶店のマスターのような存在です。
これからの学びにつなげていこう
Tomcatの仕組みを知ることで、今後こんな学びにもスムーズにつながっていきます:
- Spring Bootなどのフレームワーク(実は内部でTomcatが動いている)
- クラウド環境(AWSやGCPでのTomcat運用)
- CI/CDパイプラインでの自動デプロイ
- ApacheやNginxとの連携による本番構成
「なんとなく使っていた」から「ちゃんと理解して使える」へ。
その一歩を踏み出せたあなたは、もう立派なTomcat使いです!
次のステップとして、Spring BootやDockerとの連携、Tomcatのチューニングなどにも興味が出てきたら、また一緒に学んでいきましょう!

Tomcatは、JavaのWebアプリを動かすうえで欠かせない存在ですが、最初は「何をしてくれているのかよくわからない…」と感じることも多いですよね。 私自身も、業務で使いながら「とりあえず動いてるけど、これは何者なんだろう?」とモヤモヤしていたひとりです。
この記事では、そんな過去の自分に語りかけるような気持ちで、Tomcatの仕組みや役割をやさしく整理してみました。 もしあなたが「なんとなく使っていた」から「ちょっとわかってきたかも」に変わるきっかけを感じてくださったなら、とても嬉しいです!

トムキャットって、ネコかと思ったら…
すごいエンジニアだったんだねぇ……尊敬した!
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