「Excelで毎回同じ作業を繰り返していて、ちょっとめんどくさいなぁ…」
そう感じたことはありませんか?
そんなあなたにおすすめしたいのが “マクロ” という機能です。マクロを使えば、よくやる作業をボタンひとつで自動化できるようになります。
この記事では、Excelマクロの仕組みや使い道、始め方を初心者の方にもわかりやすく紹介していきます。
操作手順も画像付きで丁寧に解説しているので、パソコンが苦手でも安心してくださいね。
「ちょっと使ってみたいかも」と思ったら、ぜひ最後まで読んでみてください!
Excelマクロとは?初心者でもわかる基本概念
Excelには、毎回同じ操作を繰り返さずにすむ「マクロ」という便利な機能があります。
簡単に言えば、「一連の操作を記録して、あとで自動で再現してくれる仕組み」です。
たとえば、毎月の売上表をコピーして、セルの色を変えて、名前を入力して…といった作業。
これらをいちいち手作業で行っていると、時間もかかるしミスの原因にもなります。
そんなときにマクロを使えば、一度操作を記録しておけば、次からはボタンひとつで同じ作業を再現できるようになります。
VBA(Visual Basic for Applications)ってなに?
「マクロ」とあわせてよく出てくる言葉に「VBA」があります。
これは、マクロをもっと自由に、細かく制御できる「プログラミング言語」の名前です。
- マクロ:操作の記録でカンタン自動化
- VBA:自分でコードを書いて、さらに高度なことも可能にする仕組み
最初は「マクロの記録機能」だけでも十分便利なので、VBAの知識がなくても大丈夫です。
慣れてきたら、VBAに少しずつ触れていくと、もっと自由自在に自動化できるようになりますよ。
どんな場面でマクロが活躍するの?
マクロは、こんな場面でとくに力を発揮します。
- 大量のデータを決まったルールで並び替えたい
- 特定の条件でフィルターをかけたり、色を変更したい
- 決まった書式やテンプレートで毎月のレポートを作成したい
- 定期的に複数ファイルを開いて作業する必要がある
このような「定型的で繰り返す作業」は、マクロがもっとも得意とするところです。
慣れてくると「これも自動化できるの?」という驚きがきっと出てきますよ!
Excelマクロの仕組みと動作の流れ
「マクロって便利そうだけど、実際に何をしてるの?」 そんな疑問を持つ方も多いと思います。
この章では、マクロがExcelの中でどう動いているのか、その仕組みをわかりやすく解説していきます。
マクロが動く“2つの仕組み”
マクロが動く仕組みには、主に2つの方法があります。
マクロの記録機能
これは「自分がやった操作をExcelが覚えてくれる機能」です。
たとえば、セルの色を変えたり、行をコピーしたりといった作業を、録画のように記録して、あとから再生できるようにします。
特別な知識がなくても使えるのが魅力です。
VBA(Visual Basic for Applications)
もうひとつがVBAというプログラミング言語を使ってマクロを作る方法です。
記録機能よりも自由度が高く、「もし〇〇だったらこう動く」といった条件分岐や、複雑な処理ができるようになります。
最初は「記録機能」でマクロの便利さを体感してから、徐々にVBAのコードに触れていくのがおすすめです。
マクロが実行される流れ
マクロは、以下のような流れで動いています。
- 操作を記録(またはVBAで作成)する
- マクロを保存しておく(通常は .xlsm 形式)
- 必要なときに実行する(リボンから・ショートカット・ボタンなど)
このように、「一連の手順をあらかじめ準備しておいて、それを呼び出す」というイメージです。実際には、Excelが「スクリプト(手順書)」を読み取って、操作を一つひとつ再現してくれています。
コードをのぞいてみよう
「マクロの記録」で記録された操作は、VBAエディターを開くとコードとして見ることができます。
例えば、以下のようなコードが自動で生成されます。
Range("A1").Value = "こんにちは"
Range("A1").Interior.Color = RGB(255, 255, 0) 'セルの色を黄色に
「こんな風に記録されてるんだ」と見るだけでも、VBAの世界がグッと身近になりますよ。
初心者の方へアドバイス: 難しそうに感じるかもしれませんが、最初は「マクロ=作業の録画」と考えるだけでもOKです! 仕組みを少し理解するだけで、「何ができるのか」がグンと広がります。
Excelマクロのはじめ方|最初の準備と設定
マクロを使うには、まず最初にいくつかの設定を行う必要があります。
「難しそう…」と思うかもしれませんが、手順どおり進めればすぐに準備完了です!
ここでは、Excelマクロを使い始めるためのステップをやさしく解説していきます。
[開発]タブの表示設定
マクロを作成するには、[開発]タブを使います。
初期設定では表示されていないので、設定が必要になります。
①[ファイル]タブをクリックして[ホーム]画面を表示します。

②[オプション]をクリックします。

③表示された[Exceのオプション]画面で[リボンのユーザー設定]をクリックします。

④[メインタブ]を選択し、[開発]をクリックしてチェックを付け、[OK]ボタンをクリックします。

⑤[開発]タブをクリックすると、マクロやVBAに関連するボタンが表示されます。

エディタの起動
一般的なマクロではVBEというエディタを使います。
VBEとは「Visual Basic Editor」の略で、VBAを使ってプログラミングをする際に使用するツールです。
Excelに付属しているため、VBEを単独で起動することはできません。
Excelを終了するとVBEも終了します。
※「Alt」+「F11」キーを押すと、ExcelとVBEを切り替えることができます。
①[開発]タブの[Visual Basic]をクリックするとVBEが起動します。


②[挿入]の[標準モジュール]をクリックします。

ソースコードは標準モジュールという入力用のシートに記述します。


- [表示 Microsoft Excel]ボタン
Excelに切り替えます。 - プロジェクトエクスプローラー
ブックに含まれるモジュールなどの構成要素が表示されます。 - [閉じる]ボタン
VBEを終了します。 - プロパティウィンドウ
プロジェクトエクスプローラーで選択されている項目の名前などが表示されます。 - コードウィンドウ
追加したモジュールを表示するウィンドウで、マクロを入力をする画面です。
マクロの作成方法
マクロを作成する方法は2つあります。
マクロの記録
Excel上で操作した手順を記録して、マクロを作成します。
ユーザーが行った操作をバックグラウンドでVBAにより自動作成されるものです。
ユーザーによる操作でマクロを作成できるので、単純な処理に向いています。
プログラミングの知識は必要なく使用できます。
VBAで作成
VBAというプログラミング言語を使ってプログラムを作成します。
条件分岐や繰り返し処理など、実用的な処理を行うにはVBAを使ったプログラミングをしてマクロを作成する必要があります。
マクロの作成
マクロの構文について
プロシージャ
VBAではマクロのことをプロシージャと呼びます。
Subプロシージャ
Excelに処理を実行させるマクロのことをSubプロシージャと呼びます。
Sub マクロ名()
実行する処理
End Sub
VBAの命名規則
マクロ名は以下の命名規則に従って、名前を付けます。
※命名規則は変数名でも適用されます。
- 漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベット、数字、アンダースコア(_)が使えます。
- 先頭文字に数字やアンダースコアは使えません。
- 用途が決められている予約語は使えません。
Subプロシージャの作成
標準モジュールを選択し、コードウィンドウでコードを入力します。

以下はセルA1をクリアするマクロでです。
入力時はマクロ名以外すべて半角で入力するようにしましょう。
Sub クリア()
Range("A1").Clear
End Sub

Subプロシージャの実行

ツールバーの[Sub/ユーザーフォームの実行]ボタンをクリックします。

マクロ名を選択して、[実行]を押下します。

実行されました。
セルA1の値がクリアされました。

実行したいマクロ(Subプロシージャ)内でクリックしてカーソルを移動し、[F5]キーを押してもマクロを実行することができます。
マクロで実行した処理は元に戻すことができないので、あらかじめバックアップをとるようにしておきましょう。
保存方法
マクロ有効ブックの保存
マクロを含むブックを保存する時は、「マクロ有効ブック」というファイル形式で保存します。
拡張子は「.xlsm」で、通常のブック「.xlsx」とは異なることに注意しましょう。
①[ファイル]タブ→[名前を付けて保存]をクリックします。


②[参照]をクリックします。

③[名前を付けて保存]画面で保存場所を選択します。
④[ファイル名]でファイル名を入力します。
⑤[ファイルの種類]で[Excelマクロ有効ブック]を選択します。
⑥[保存]ボタンをクリックします。

⑦ブックを閉じます。
⑧エクスプローラーで保存されていることを確認します。

[ファイルの種類]で通常のブックとして保存しようとすると、以下のエラーメッセージが表示されます。
次の機能はマクロなしのブックに保存できません:
・VBプロジェクト
これらの機能が含まれるファイルを保存する時は[いいえ]をクリックし、[ファイルの種類]ボックスでマクロ有効ファイルの種類を選択してください。
マクロなしのブックとして保存する場合は、[はい]をクリックしてください。

[はい]をクリックすると通常のブックとして保存され、マクロは削除されます。
マクロを保存したい場合、[いいえ]をクリックして、ファイルの種類を[マクロ有効ブック]に変更して保存します。
マクロを含むブックを開く
①保存したファイルをダブルクリックします。

②ブックが開き、[セキュリティの警告]メッセージバーが表示されたら、[コンテンツの有効化]をクリックします。

実践!マクロで自動化を体験してみよう
ここまでで「マクロって便利そう」「使えそう」と感じていただけたかと思います。
この章では、実際にマクロで“自動化の第一歩”を体験してみましょう!
今回は、初心者でも安心して取り組めるように、とてもシンプルな操作を記録して再現するところまでを一緒にやってみます。
例1:セルに文字を入力して背景色を変えるマクロ
まずは基本的な操作からいってみましょう!
手順
- 「開発」タブ →「マクロの記録」をクリック
- マクロ名:「TestMessage」などと入力して「OK」
- 任意のセル(例:A1)をクリックし、こんにちはと入力
- 同じセルを選択したまま、「塗りつぶしの色」で黄色を選ぶ
- 「開発」タブ →「記録終了」をクリック
これだけで、今の操作がマクロとして記録されました!
実行してみよう
「開発」タブ →「マクロ」をクリックし、今のマクロを選んで「実行」すると…
→ 任意のセルに同じ操作(“こんにちは”入力+黄色に塗りつぶし)が再現されます!
例2:複数の行に罫線を引くマクロ
もう1つ、ちょっと応用的な例です。
手順
- マクロの記録を開始(マクロ名:「AddBorders」など)
- A1〜D5あたりに適当にデータを入力
- 範囲を選択して「罫線」から外枠+内枠を設定
- 記録終了
実行してみよう
記録したマクロを再実行すれば、別のシートやセルにも同じように罫線が引けるようになります。
記録されたVBAコードをのぞいてみよう
マクロの中身がどう記録されているか気になる方は、以下の方法で確認できます。
- 「開発」タブ →「Visual Basic」をクリック
- 左側の「Module」を開くと、記録されたコードが表示されます
例:
Range("A1").Value = "こんにちは"
Range("A1").Interior.Color = RGB(255, 255, 0)
「コードってこうなってるんだ!」と見るだけでもワクワクしてきますね。
マクロ活用のコツ
- 最初は“繰り返し操作”や“手順が多い操作”をマクロにしてみるのがおすすめです
- コードが読めるようになると、「ここだけ変えたいな」というときにも柔軟に対応できます
- 操作を記録 → 実行してみる → 中身をのぞいて学ぶ、というサイクルを意識しましょう
よくある疑問・トラブルQ&A
マクロを初めて使ったとき、「動かない」「保存できない」「なんかエラーが出た…」といった壁にぶつかることがあります。
でも、それらは誰もが通る“マクロあるある”です。この章では、初心者の方がよく抱く疑問やトラブルの対処法をQ&A形式でご紹介します。
Q1:マクロを実行したのに動かないのはなぜ?
A:マクロが“無効化”されている可能性があります。
Excelではセキュリティ上、マクロがデフォルトで無効になっていることがあります。
- .xlsm形式でファイルを保存しましたか?
- ファイルを開いたときに「コンテンツの有効化」ボタンを押しましたか?
- 「マクロのセキュリティ」設定で、警告が表示されるようになっていますか?
設定を見直すだけで、サクッと解決するケースが多いです。
Q2:マクロが記録されていなかった?中身が空っぽ!
A:実行中の操作が記録対象外だった可能性があります。
たとえば、メッセージボックスの表示や一部のダイアログ操作は記録されないことがあります。
また、「記録開始」後すぐに「記録終了」してしまうと、何も残っていない場合も。
もう一度ゆっくり手順を確認しながら、記録しなおしてみましょう!
Q3:マクロを保存しても次に開いたら消えてる!
A:保存形式が .xlsx になっていませんか?
マクロは「通常のExcelブック(.xlsx)」では保存されません。必ず「マクロ有効ブック(.xlsm)」で保存する必要があります。
- 「名前を付けて保存」
- 「ファイルの種類」から「Excel マクロ有効ブック(.xlsm)」を選択
Q4:自分でコードを少し変えてみたら、エラーが出た!
A:コード内の記述ミスや構文違いが原因かもしれません。
VBAはちょっとしたスペルミスや記述順の違いでも動かなくなってしまいます。
例えば…
Range("A1").Valu = "テスト" '← Valueのスペルミス
エディター上ではスペルミスの箇所が赤くなったり、エラーメッセージが表示されたりします。
焦らず落ち着いて修正してみてください。
Q5:他人のパソコンではマクロが動かないのはなぜ?
A:信頼されていないファイルや場所にある場合、マクロがブロックされます。
特に社内環境などでは、IT部門によってマクロ実行が制限されていることもあります。対策としては:
- 信頼済みのフォルダーに保存する
- デジタル署名をつける
- もしくは「記録マクロ」を使わず、VBAコードだけ渡す方法もあり
まとめ:不安やエラーも“成長の証”!
マクロのトラブルは、誰にとっても最初のハードルです。
でも、それを乗り越えたときに「自分で自動化できた!」という達成感が待っています。
ちょっとしたエラーも、実は次のステップに進むための大事なヒントだったりします!
これからの学習ロードマップ
マクロの第一歩を踏み出せたら、あとは少しずつレベルアップしていくだけです。
焦らず、自分のペースで学んでいけば、必ず“使いこなせる”ようになりますよ。
この章では、今後どんな流れでスキルを深めていけばよいかを、段階ごとにご紹介します。
ステップ1:記録マクロに慣れる
まずは、さまざまな操作を「記録 → 実行 → 見直し」することを繰り返して、マクロの便利さや流れに慣れていきましょう。
- 「この作業も自動化できるかも」と思ったら、すぐ試してみるのがコツです
- 少しずつVBAコードも見慣れてくるはずです
ステップ2:記録マクロを“少しだけカスタマイズ”してみる
次に、記録されたVBAコードをほんの少し変更してみましょう。
- 入力するセルの位置を変える
- 入力する文字列を変える
- 複数のセルに対する操作を追加してみる
これだけでも「コードを書いた!」という達成感が得られます。
ステップ3:基本的なVBAの書き方を学ぶ
慣れてきたら、基本文法や構文にもチャレンジしてみましょう!
- 変数の使い方(データを一時的に記録)
- If文(条件によって動きを変える)
- For文(繰り返し処理)
このあたりを学ぶと、一気にマクロの自由度が広がります。
ステップ4:現場で使える実践マクロを作る
業務で実際に使えるマクロ(例:月次レポート自動作成、ファイル一括印刷など)を、自分で組み立ててみましょう。
具体的な目的があると、学びも加速します!
継続学習を助けてくれるリソース
- 初心者向けおすすめ書籍 例:「できるExcel VBA」「たった1秒のExcel術」シリーズ
- Webサイトや動画チュートリアル
- 実践的な練習問題を使って、覚えるだけでなく“使える”知識へ!
最後に:学ぶ楽しさを大切に
最初はわからなくて当然です。
マクロもVBAも、小さな“できた!”の積み重ねがいちばんの近道。
この記事が、あなたにとって「自動化の世界へのはじめの一歩」になれたなら、とても嬉しいです!

はじめてのマクロはちょっと不安があるかもしれませんが、一歩踏み出せたあなたはもう「自動化の世界」の入り口に立っています。 少しずつでも大丈夫です。この記事がその一歩一歩をお手伝いできたら嬉しいです。これからも、初心者の方にもわかりやすく、役立つ記事を発信していきますので、ぜひまた覗きにきてくださいね!
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