「転職したほうがいいのかな…」
「このままでいいのか、ちょっとモヤモヤする…」
そんなふうに思いながらも、ずいぶん長いこと“そのままの場所”にとどまっていました。
というのも、動き出すのが怖かったんです。なにより、自分に自信がなかったから。
でもある日、「とりあえず、今できることを整理してみよう」と思って、 これまでやってきたこと・身につけたスキルを、とにかく箇条書きで書き出してみました。
すると不思議なことに、「あれ、自分って意外といろいろやってきたかも…?」と思えるようになって。
どうやら私は、“考えてから動く”より、“動きながら考える”ほうが向いていたようです。
気分はまるで「道に迷ったから、とりあえず歩き始める旅人」状態。
この記事では、そんな私が「転職しなきゃ!」と焦るでもなく、 「この気持ちってなんだろう?」と向き合いながら、 自分の不安を少しずつ“ほどいていった過程”をまとめています。
転職に興味はあるけど、なんとなく怖い。
そんな“決められない時間”を過ごしている方のヒントになればうれしいです!
「このままでいいのかな?」という小さな違和感から始まった
転職を意識し始めたあの頃、私は「今の職場が絶対イヤ」というほど強い不満があったわけではありませんでした。
待遇も悪くないし、人間関係だってそこまでひどいわけじゃない。
それでも、仕事を終えたあとに感じる“すっきりしなさ”や、 週明けになるとじんわり湧いてくる「また月曜日かあ…」という疲れが、じわじわと心に積もっていきました。
明確な不満がないぶん、踏み出す理由も見つからない
このときの私の心境は、まさに“転職未満”。
「なにかを変えたい気はするけど、決定的な理由が見つからない」
——そんなふうに、モヤモヤをうまく言語化できずにいたんです。
むしろ、こんなことを考えていました。
「変わるほどの勇気もないのに、変えたいと思うなんて、ただのわがままかもしれない。」
でも、違和感って“壊れた部品”みたいに明確に音を立ててくれるものではなくて、 ある日突然、「このままだと何かズレていきそう」という静かな違和感のようなものとして姿を現すんですよね。
「このままでいいのかな」の正体
振り返ると、私が感じていた違和感の中身はこんなものでした。
- 目の前の業務がひたすら“こなすだけ”になっていて、成長実感が薄い
- 目指したい像がわからず、キャリアの方向性がぼんやりしている
- ときどき同僚の活躍や転職話を聞いて、うっすら焦る
- 頑張ってるはずなのに、なぜかずっと自信がない
どれも一つひとつは小さくて、「これが理由です!」と堂々と言えるほどじゃない。
でも、その積み重ねが“もやもや”という形で、私の中に残っていたんです。
むやみに動かなくてよかったと思っていること
この時期、私は「転職=今すぐ行動!」のような空気にうっすらプレッシャーを感じつつも、 すぐには履歴書を開いたり、求人サイトに登録したりする気持ちにはなれませんでした。
だけど今思うと、あの“動けない時間”にも意味はあったなと感じています。
自分の中の違和感を大切にして、その正体をゆっくり探る時間。
それがあったからこそ、このあと少しずつ、転職への準備を始めることができたんだと思います。
このあとの章では、「転職が怖い」と感じていた理由や、 自分の軸が見えずに悩んでいた日々のこと、 そしてどんなふうに不安を“ほどいていった”かをお話していきます。
「転職=怖い」の正体をゆっくり見つめてみた
「転職したい気もするけど、でも怖い」。 この“怖さ”って、ただの気のせいでも、思い過ごしでもなくて、ちゃんと理由があるんですよね。
私は、転職が具体的に頭に浮かびはじめた頃、正直なところ…けっこうビビってました。
それっぽい転職サイトを開いても、心が「それどころじゃない感」を出してきて、すぐに閉じる。
頭では「そろそろ動いたほうがいいかも」と思っているのに、身体と心が追いつかない感覚があったんです。
「転職が怖い」の中身、実はこんなにいろいろありました
冷静になって、少しずつ言葉にしてみると、私の“怖さ”はこんな感じで構成されていました
- 今よりいい会社に出会える保証なんてない
- 周囲(特に家族)にどう説明すればいいかわからない
- 社会人としてのキャリアが「中途半端」に見られそうで不安
- 面接とか履歴書とか、自己PRとか…そもそも全部しんどい
- 失敗したらどうしよう、でも戻る場所もないかも…?
…改めて見ると、「そりゃ怖くもなるわ」というボリュームです。
でも、こうして“もやっとしてたものに名前をつける”だけでも、少しほぐれる感覚があったんですよね。
未来が怖いのは、「今」を大事にしているからかもしれない
それと同時に気づいたのが、 転職が怖い=意欲がない、チャレンジ精神がない、ということではないんだなということ。
むしろ私は、
- 今の職場でやってきたことをムダにしたくない
- せっかく築いた人間関係を壊すのが惜しい
- 今の環境でまだ得られるものがあるかもしれない
そんな思いがあったからこそ、「離れる決断」が怖かったんだと思います。
今の自分を大切に思っているからこその“ブレーキ”だったんですよね。
「怖い」を正面から眺めてみたら、次の行動が少しだけ見えてきた
こうして「怖い理由」を言語化できたことで、 ようやく私は「この怖さを抱えたまま、できることってなんだろう?」と考えられるようになりました。
いきなり転職活動を始めなくてもいい。
まずは小さなことから、心の準備を整える段階に入ろうと決めたのです。
次の章では、「何がしたいのかわからない」自分とどんなふうに向き合ったかをお話ししていきますね。
「何がしたいのか分からない自分」と仲直りするまで
転職って、“目的”がはっきりしてる人ほどスムーズに見えるんですよね。
「これがやりたい」「こんな働き方がしたい」っていう明確なビジョンがある人たちを見ると、 私は「何もない自分」に思えてしまって、ちょっと落ち込んでいました。
転職以前に、“自分が何を望んでるか分からない”問題
転職を考えているのに、何がしたいのか分からない。
その状態って、なかなかやっかいです。
私はこんな気持ちになっていました
- スキルの棚卸しをしても、「だから何?」になってしまう
- 求人を見てもピンとこない、なんか全部違う気がする
- 自分に合う仕事があるのか分からなくて、どんどん不安になる
- 結局、何も動けず「思考だけが暴走」していく
この状態、ちょっと“迷子のループ”みたいで、本当にしんどかったんですよね。
まずやったこと:「過去の経験の棚卸し」
何も分からないなら、せめて「今までの自分」とちゃんと話してみよう
—— そう思って、過去の仕事で楽しかったこと・しんどかったこと・やりがいを感じた瞬間などを、 ノートに箇条書きで書き出していきました。
- どんな仕事だと自然と集中できた?
- 逆に、何があるとストレスが溜まりやすかった?
- 「ありがとう」と言われて嬉しかったのは、どんな場面?
「これがやりたい」は出てこなくても、「これはちょっと違う」なら分かる。
そんな感覚が少しずつヒントになっていきました。
軸は“探す”より“育てる”ものかもしれない
正直、最初は「軸って言われても…」という感じでした。
でも、過去の経験を見直す中で、 「私は“こうありたい”っていう姿勢に敏感なんだな」とか、 「誰かの困りごとをほどくプロセスが好きかもしれない」とか、 じわじわと、自分の“輪郭”がにじむように見えてくる感覚がありました。
軸って、持ってる人がえらいわけじゃなくて、 考え続けたり、仮説を立てたりしながら、少しずつ育てていくものなんだと思います。
「分からない自分」を置いていかずに、一緒に歩く
自分のやりたいことが分からないときって、 「分からないままじゃダメだ」と思いがちだけど、 今の私は、こう考えるようになりました。
分からないことを怖がらなくていい。 ちゃんと考えようとしているだけで、立派な第一歩だ。
次の章では、少しずつ“決める”ことを手放して、 “準備しておく”という選択肢に切り替えたときのことを綴りますね。
“決める”じゃなくて“準備する”という選択
「転職しようか迷ってる。でも決められない」 そんな状態って、気持ちが宙ぶらりんで、なんだか落ち着かないんですよね。
私も、ぐるぐる考えては動けず、また考えて、疲れて、また閉じる……というループをしばらく繰り返していました。
でも、あるときふとこう思ったんです。
決めなくていいなら、“準備”だけでもしてみようかな。
“行動=すぐ転職”じゃなくてOK
転職に関する情報って、「今すぐ転職しよう!」「未経験でも即エントリー!」みたいなフレーズが多くて、 それを見るたびに「まだそこまで決められてない私って遅れてるのかも…」と焦っていました。
でも、よくよく考えると、動く=応募する だけじゃない。
むしろその前にやれることって、けっこうあるんです。
まずは“自分の棚卸し”からゆるく始めてみた
私が最初にやったのは、「職務経歴書を“出す用”じゃなく“自分確認用”に書いてみる」ことでした。
箇条書きでもいい、見出しだけでもいい。
これまで関わった業務、使ってきたツール、任されていた役割。
思い出せる範囲で書いてみると、「あ、自分ってこんなことやってたんだ」という気づきがじわじわ出てくるんですよね。
さらに、
- 使えると思ったスキル
- 苦手意識があること
- もう一度やってみたい仕事
などもメモしていくと、「どんな仕事が向いているのか」や「避けたい働き方」が少しずつ見えてくるようになりました。
情報収集も、“ながら”でOKだった
転職サービスに登録してみたり、気になる企業の採用ページをのぞいてみたり。
求人票を「真剣に選ぶ」のではなく、“今の自分の感覚に合う働き方ってあるのかな?”と眺めてみる。
この「ながら検索」も、立派な“準備”だと思うんです。
本を読んでみたり、YouTubeで転職体験談を聞いてみたりするのもおすすめ。
他の誰かのストーリーに触れることで、自分の気持ちが少し整理される瞬間があったりします。
“準備”をしておくと、「今じゃなくても動ける自分」になれる
すぐに決めなくても、準備しておくだけで 「いざとなったら、私は動ける」という安心感が生まれました。
- 職務経歴書のたたきを持っておく
- 自分の希望条件をメモっておく
- 気になる業種や職種をスクショして残しておく
それだけで、焦って無理に決断する必要がなくなったんです。
「まだ転職するって決めたわけじゃないけど」 「でも、もしそうなったときは、自分で舵を切れそう」
—— そんなふうに、“迷っている自分”を受け入れながら整えていく時間でした。
次の章では、そんなふうに決断を保留にしながらも、 少しずつ「ちゃんと前に進んでいた」と気づけた話をお届けします。
“決められない”ままでも、ちゃんと前に進んでいた
転職のことを考えていたあの頃、私はずっと「決められない自分」に引け目を感じていました。
- みんなスパッと判断して次に進んでいるのに、私はずっと迷ってる
- 情報収集ばかりで、結局どこにも応募できていない
- “結局どうするか”がずっと決められないまま時間だけが過ぎていく
そんなふうに、「何ひとつ進んでいない」ような気がして、自分にがっかりしていた時期もありました。
でも、立ち止まっているようで、ちゃんと“考えていた”
今振り返ると、あの「決められない」時間って、じつはすごく重要な準備期間だったと思っています。
- 自分のキャリアを整理するために職務経歴書を書いてみた
- 求人をながめながら、「これは違う」「こういうのは良さそう」とつぶやいてみた
- 転職した人の体験談を読んで、自分と比べてみた
- ふとした瞬間に「自分はこれからどうしたいんだろう」と問い直してみた
どれも大きなアクションではなかったけれど、“今のままでいいのか”という気持ちにちゃんと向き合っていた証拠だと思うんです。
心の中で動いていたことは、あとからジワジワ効いてきた
いざ「そろそろ本気で動いてみようかな」となったとき、 かつての“準備していた自分”のおかげで、想像以上にスムーズに動けました。
- 書きかけだった職務経歴書が、土台として役に立った
- 「これがイヤだったんだ」という過去メモが、企業選びの軸になった
- 焦って決めなかったからこそ、納得いく選択ができた
つまり私は、“決断できないままの時間”の中でも、ちゃんと未来の自分のために小さな下ごしらえをしていたんですよね。
「決められなかった私」がいたからこそ、ブレない選択ができた
迷っていた時間をムダに感じていたけれど、 ほんとうは、何度も考え直して、何度も立ち止まったことそのものが「自分の軸」になっていたのだと思います。
「なんとなく不安だから」という理由ではなく、 「自分にとって大事なことを守るために選んだ」と思える決断ができたのは、 ちゃんと、あの迷いの中で自分と話し続けていたから。
次の章では、いよいよ転職活動に向き合ったときのリアルな感情や、 それまでの準備がどう活きてきたかをお話していきますね。
転職という選択に、少しずつ“納得”できるようになるまで
準備を重ねながらも、なかなか「よし、いざ転職しよう!」とはなれなかった私。
それでも時間をかけて考え続けたことで、あるときふっと“気持ちが整ってきた感覚”がありました。
それは、ある日突然降ってくるようなものではなく、 日々の中で少しずつ、自分の心が変化していく感覚でした。
「ここにいても、ここじゃなくてもいいかも」と思えた日
転職を考えはじめた当初は、「今の会社を辞める=一大決断」と思っていた私。
でも、準備期間を経て情報を集め、考えを整理していくうちに、 ふとこう思えるようになったんです。
「もし今の職場を離れることになっても、私はやっていけるかもしれない。」
この“かもしれない”が大事で、完全な自信じゃなくても、 「自分を信じる余地」が生まれたことそのものが、大きな一歩だったと思っています。
自分で納得できる選択肢を持てるだけで、強くなれる
誰かにすすめられたからでも、焦りに背中を押されたからでもなく、 “自分で考えて、選んで、納得できた道”を持てるって、すごく安心感があります。
私は転職活動を本格的に始めるとき、 「行きたい企業があるから」よりも、 「今の自分がこう働きたいと思える場を探してみたい」という気持ちがベースにありました。
それはきっと、準備と内省をちゃんと重ねてきたからこそ持てた視点だったと思います。
転職は、未来を“変える”というより、“整える”行為かもしれない
結局のところ、転職は魔法ではありません。
でも、それまで見過ごしてきた「働き方」「自分の優先順位」「どう生きていきたいか」を まっすぐに見つめ直すきっかけにはなりました。
そしてそれが、次の選択肢を少しずつ“自分の言葉”で説明できる力になっていたように思います。
“迷いながら整えてきた日々”があったから、進めた
行動に移す前に、ちゃんと迷った。
怖さに向き合ってみた。 焦らず、自分と対話してみた。
その積み重ねが、「転職」という決断を少しずつ“自分の中に馴染ませる時間”だったのだと、今は思っています。
次の章では、実際に転職活動を始めて気づいたこと、そしてどう変化を受け止めていったかを綴っていきますね。
実際に転職活動をして気づいたこと
ついに転職活動を始めた私。
これまでじっくり準備してきたこともあり、焦らず、でも確かな一歩を踏み出せた感覚がありました。
とはいえ、やっぱり未知の世界。
履歴書を送ったり、面接を受けたりする中で、「あ、そうか」と思う瞬間がいくつもあったんです。
書類を整えること自体が、自信につながる
職務経歴書を書くのは正直めんどうでした。
何度もブラッシュアップして、書いては消しての繰り返し。 でも、言葉にして整理していくうちに、「自分、意外といろいろやってきたんだな」と実感できるように。
誰かに見せるためというより、「自分で自分の歩みを見返す」ことが、じんわりと自信を育ててくれた気がします。
面接は“落とされる場”じゃなくて、“お互いを知る場”だった
最初の頃は「ちゃんと答えなきゃ」「見透かされるかも」と面接が怖くてたまりませんでした。
でも何社か受けていくうちに、これは“選ばれる場”じゃなくて、“お互いを知る機会”なんだなと思えるように。
質問されて答えながら、自分の価値観や大切にしたいことに改めて気づいたりもして、 面接というより“対話”に近い時間だったなと思います。
あの準備期間が、ちゃんと“効いていた”
求人を見る目、企業との距離感、働き方のフィルター。
どれも最初から完璧じゃないけれど、「この方向性は違う」とか「こういう社風は合いそう」みたいな直感が、以前よりはっきりしていました。
そして何より、「どこでもいい」ではなく、「自分の軸に沿った選択をしたい」という感覚を持てていたのが大きかったです。
“動いてみないとわからないこと”が、確かにあった
転職活動には勇気がいります。 でも、どんなに準備していても、実際に動いてみてはじめて見えることもたくさんある。
それを知るために、考えすぎず、でも自分のペースで、 ひとつずつ試していけたことは、何よりの財産でした。
次の章では、転職を終えたあとに感じたこと、そして“働き方の捉え方”がどう変わったのかをお話ししていきますね。
おわりに:“決められなかった私”を肯定できるようになるまで
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
転職について悩んだ日々を振り返ると、私はずっと「決断できない自分」にダメ出ししていたような気がします。
- もっと行動力がある人だったら、すぐに動けたはず
- 自分のやりたいことを明確に語れないなんて、プロ失格では?
- 悩んでる時間、ムダだったんじゃないかな
そんなふうに、自分に厳しすぎる目を向けては、余計に動けなくなっていました。
でも、決められなかった時間にも意味があった
この記事を通してあらためて思うのは、 「迷いながら過ごしてきた時間にこそ、自分らしさがにじんでいた」ということ。
- 何を大事にしたいか
- 何が苦手だったか
- どんなふうに働いていきたいか
それを言葉にしていくための時間だったし、 それがなければ、たとえ転職できたとしても「これでよかった」と思えなかったかもしれません。
決断のスピードより、「自分を大切にできたか」が大事
周りの人がどんどんキャリアを変えていったり、 “自分軸”を堂々と語っていたりするのを見ては、うらやましい気持ちもありました。
でも今なら、「自分なりのペースで、自分との対話を続けた自分」を、ちゃんと認めてあげられる気がします。
転職する・しないに関わらず、 自分に正直であること。焦らず整えること。
そのプロセスそのものが、未来の選択をじぶんの言葉で選べる力になるのだと思います。

もし今、あなたが「転職したいけど決めきれない」「何がしたいかわからなくて苦しい」と感じていたとしたら… その迷いは、きっとまじめに、丁寧に、人生を考えている証拠です。
私自身、何度もぐるぐる悩みました。 すぐ決められないことを責めたり、動けない自分にがっかりした日もあります。 でも、そんな日々のなかで少しずつ見えてきたのは、 「選べない自分」ではなく、「ちゃんと自分と向き合っている自分」でした。
転職に正解はありません。 でも、自分の声に耳を澄ませながら進んでいく過程には、その人だけの軸や答えが、きっと見つかると信じています。
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